本校は、国立高等教育機関として、科学技術立国を担っていくエンジニア養成のための教育・研究に尽力するとともに、持続可能な社会の実現をめざして、未だに女性が少数に留まっている理工学分野において、多様性を尊重し、誰もが自分の力を発揮できるダイバーシティ&インクルージョン(D&I)環境の整備に積極的に取り組んできました。
具体的には、男女共同参画推進を目的として、平成24年8月に男女共同参画推進委員会を設置、令和4年度からはダイバーシティ推進委員会に改編し、以下の取り組みを行っています。
女性教職員の比率向上を図る取組として、大学等における高専教員職説明会の開催や平成25年9月には、女性ポスドク・大学院生を対象とした高専教員職体験(インターンシップ)を全国の国立高等専門学校に先駆けて実施しました。また、女性研究者の研究活動支援のための研究支援員の配置(文部科学省科学技術人材育成費補助事業)を行っています。
女子学生の比率向上及びキャリア教育の充実を図る取組として、平成23年度から「高専女子フォーラム」を開催しています。このフォーラムは、全国9高専連携で実施している「全国高専女子学生の連携による高専女子ブランドの発信事業」のイベン卜の一つで、本校は令和2年度及び3年度に代表幹事校となって実施しました。学生自身が高専女子の教育、研究、学生生活を発表するとともに、参加企業で活躍している女性エンジニアと交流することで、学生の進路やキャリア形成についてのネットワークを広げ、情報交換を図ることを目的として開催しています。
この他、女子学生が「なでしこプロジェクト」を結成して、女子中学生およびその保護者をターゲットに、学校生活についてSNSで発信したり、イオンモール大和郡山などで小中学生対象のイベントを開催したりしています。また、女子学生が主体となって独自にものづくりを実践して高専機構本部主催のコンテスト(高専GCON)で発表する活動にも取り組んでいます。このような活動の支援を通して、女子学生の自主性や創造性を育む環境づくりに尽力しています。さらには、女子学生及び女性教職員のための安全かつ快適な修学・就労環境の整備を図る取り組みや意識啓発のためのセミナー開催等を実施し、生涯にわたるキャリアを在学中から描くことができるように、様々な情報を学生や社会に向けて提供しています。
このように、多様な角度から男女共同参画の取り組みを進める中で、平成24~25年度の2年間は、国立高等専門学校機構 男女共同参画推進モデル校の指定を受け、令和元年度~令和6年度はダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型)(主幹校:奈良女子大学)に採択され事業に取り組んでおります。また、本年度、新たに「女子中高生の理系進路選択支援プログラム」(主幹校:奈良女子大学)にも採択され、県内の大学や企業と協力して、理工系人材育成に取り組みます。
今後も一層のダイバーシティ推進に努めてまいります。皆様のこれまでのご支援に感謝申し上げるとともに、今後ともご支援・ご協力をお願い申し上げます。
奈良工業高等専門学校長 近藤 科江